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第39回 「プアサ(断食)と運転手」
Author : セルナジャヤ 高橋
Posted: 2008-09-12 00:00:00 | Category:
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第39回 「プアサ(断食)と運転手」

プアサ(断食明け大祭=レバラン=の前に約1カ月行う断食)が始まり、はや2週間。
プアサの雰囲気に慣れてきたころではないでしょうか? 多くの企業が就 業時間を早めたり、イスラム教徒の従業員には昼食時間を短縮した分、終業時間を繰り上げるなど配慮しており、大抵の従業員は自分で仕事と時間を調整できま す。しかし運転手は
帰宅時間もブカ・プアサ(夕方の断食明け)も“雇用主・会社次第”なので、この時期にわたしが一番気を使うのは運転手です。

 ◇非イスラムにも試練 秘訣は気配り・寛容

  人口の約90%がイスラム教徒のインドネシアでは、当然のこととしてイスラム教徒の運転手が多く、暑い中で長時間にわたり水も飲めず、睡眠不足が続くた め、プアサ
期間中は運転が荒くなったり、事故が増えると聞きます。ブカ・プアサには水が飲めるように配慮する、自分は車内で喫煙しない、早めに帰宅させる など、気配りされている方も多いかと思います。

 先週の金曜日、わたしは朝から外出でした。イスラム教徒の運転手がSholat Jumat(金曜礼拝)に参拝できるよう時間に配慮していたのですが、想定外の大渋滞に見舞われてミーティングがどんどんずれてしまい、結局運転手は金曜礼拝に行くことができませんでした。
  これまでにもこのようなことは何度もあり、普段は謝ると「ティダッアパアパ(大丈夫)! 心の中で祈っているから」と言っている運転手ですが、その日は 「ルギ、ルギ(損した)!」を連発し、不機嫌そうで、いつもと様子が異なりました。
ラマダン(断食月)はとても神聖な期間で、特にこの時期に金曜礼拝に参拝することはより有意義なこととされているため、悔やまれて仕方がなかったようです。

 同様に先日もミーティングに同行するようお願いしたスタッ フに、「金曜日は避けてほしい」と普段はないことを言われました。普段は敬虔(けいけん)ではない人もまじめに義務を果たそうとするほど、ラマダンはイス ラム教徒にとって大切なものだと教えられ、改めて「金曜日は極力外出を控える」など気を付けなければいけないと実感しました。

 プアサと は本来、自己修練、精神修養、貧しく空腹な人の気持ちを知る、などの意味を持つ自分の意志で行う修行なので、特段神経を使う必要はないともいわれています が、国民の宗教心が強いインドネシアでは、宗教に理解を示し、尊重することが、
インドネシア人とうまく付き合う秘訣(ひけつ)だと思います。もちろん運転手だけでなく、
すべての従業員、ハウスキーパーひとりひとりに対しても、この時期は特に寛容に対応しなければいけません。イスラム教徒ではないわたしたち にとっても、ある意味“試練”のときといえるのではないでしょうか?

時事速報インドネシア便掲載

 

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