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第57回 「給与交渉」
Author : セルナジャヤ M
Posted: 2010-04-09 00:00:00 | Category: 時事速報インドネシア
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第57回 「給与交渉」

「インドネシア人を面接する際に給与で『グロス(Gross)』『ネット(Net)』という言葉を聞きますが、どういう意味ですか?」というご質問を日本人ご担当者から受けることがあります。次の解釈がよく使われています。
 ・グロス=所得税を組み込んだ給与
 ・ネット=所得税を差し引いた給与
 「所得税は個人負担」というのが日本では一般的ですが、インドネシアの現状は会社負担が多く、交渉時にお互い確認し合うことが求められます。

 ◇所得税確認せず面接 採用活動が水の泡に

 お互いの解釈がずれていたため起きたという、次のような話を聞いたことがあります。
  某日系企業では所得税は個人負担と規定しています。シニアマネジャークラスとの面接で、日本人ご担当者は給与額だけを伝えた一方、「所得税は会社負担が当 たり前」と応募者は認識しており、双方とも確認せずに話を進めました。3次面接を終えていざ採用となった段階で、所得税の問題に気付いた応募者が再交渉を 求めるという事態になりました。

 応募者が現職で受けているネット給与額は1500万ルピア(約15万円)。企業側が提示したグロス給与額は 1700万ルピアで、所得税を差し引くと、現在よりも下がることになります。ご担当者は慌てて給与額を調整しようと努めましたがかなわず、2カ月もかけた 採用活動は水の泡となり、振り出しに戻ったそうです。

 とある企業ではまた、「基本給は応募者が現職で受けている額を下回るが、月給の約3カ月分 をボーナスとして毎年支給しているため、年収で考えるとアップだ」と日本人ご担当者は自信を持って交渉に臨んだところ、「景気や業績に左右されるボーナス は要らないので、確実に頂ける毎月の給与を上げてくれ」との思わぬ返答を受けたそうです。このケースでは基本給に上乗せできたため、幸いなことに採用とな りました。
 会社側がその後、ほかのインドネシア人社員に聞いてみたところ同じような反応があり、「インドネシア人は将来よりも現在のことを考えるんです」というコメントもあったとのこと。今後の交渉について考えさせられたそうです。

  日本の常識すべてが当地で通用するとは限らないとは、皆様も身をもって実感されていらっしゃると思います。とかく給与については、人はセンシティブになり がちです。給与の交渉に当たっては、日本人ご担当者だけでなくローカルスタッフの人事を同席させるなどして、インドネシア人の意見を聞くことが円滑に進め るカギとなるのではないでしょうか。

時事速報インドネシア便掲載

 

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