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第53回 「賃金交渉」
Author : セルナジャヤ 森
Posted: 2009-12-11 00:00:00 | Category:
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第53回 「賃金交渉」

今年1月の賃金交渉で、某日系企業の日本人担当者の方が「不況だから昇給が十分にできない」と経理スタッフへ説明したところ、「わたしたちは常に不況 だ!」と返され、もめたそうです。どうやらそのスタッフは、会社の売り上げが落ち込んでいることは理解していたものの、その原因が世界不況で大変な事態に なっていることは知らず、「会社はありとあらゆる理由を付け、賃金を安く抑えようとしている!」と感じ、不満をぶつけたようです。

 ◇従業員には知識格差 思い込み捨て交渉を

  それを知った担当者の方は後日、世界情勢と企業の現状をしっかり説明した上で、理解を促すことになりました。この一件があってその後、担当の方は世界不況 についてまずマネジャークラスに尋ねたところ、「新聞などで知っている」「関心があるのでインターネットで調べている」という回答があった一方、一般スタッフクラスからは「知らない」「そうなんですか?」という回答が目立ち、驚かれたというお話でした。

 インドネシアのテレビ番組は娯楽関連が多 く、世界情勢の報道は限られているのが現状で、十分な情報が得られるのは新聞やインターネットなどといった有料メディアになるようです。そのため、十分な 所得を得ている層と、そうでない層とで知識格差が生じているのではないのでしょうか。

 一方、日本ではテレビや多くのメディアで毎日のように不況 のニュースが報道され、国民にとって世界不況は周知の事実かと思われます。また、ある方のお話では、某大手商社がこの不況の中で子会社が売り上げを伸ばし たとして某報道機関に情報提供したところ、翌日のニュースでは報道されず、別の子会社の売り上げ減が報道された
そうです。慌てて担当者が確認したところ、 「日本国民は不況ネタを好むので、視聴率の取れない報道はできない」と返答され、あぜんとしたとのことでした。悲しいかな、
われわれ日本人はメディアを通 じて不況を強く感じさせられているのかもしれません。

 先日、ジャカルタ特別州の州知事規定により、来年1月からの州最低賃金が4.5%アップの月額111万8009ルピアに決まりました。これに続いて各地方でも最低賃金が決まり始めており、それを基に従業員との賃金交渉が進められることになります。

 来年のための賃金交渉の際は「従業員は会社の状況を知っている」というつもりで行なうのではなく、理解していない者もいることを前提に、企業の状況を十分に説明することが円滑に交渉を進めるポイントの一つになるかと思います。

時事速報インドネシア便掲載

 

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