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第87回 「人事マネジャーの重要性」 
Author : セルナジャヤ 森
Posted: 2012-10-20 00:00:00 | Category: 時事速報インドネシア
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第87回 「人事マネジャーの重要性」 

第87回 「人事マネジャーの重要性」 
 
 人事マネジャーの存在は特に製造業で大きく、多くの企業ではインドネシア人のトップとして人事マネジャーを重宝する傾向があります。さて、それはなぜでしょうか?
 
 ◇人事業務に法律の規制がある
 まずは法律を理解しなければなりません。
 「人事業務に外国人が携わってはならない」という話をお聞きになられたことがあると思います。インドネシアでは外国人が「人事職」に就くことが禁じられており、要するに人事業務を行うことが認められません。(2003年労働法第13号 第46条)
 
 ◇製造業と非製造業との根本的な違い
 商社やサービス業といった非製造業では、従業員数が少ないがゆえに人事課を持たず、経理や秘書担当者が人事・総務を兼任することがよくあります。
 一方、製造業の場合は抱える従業員が数十人から数千人と多く、人事マネジャーが従業員の雇用や管理もさることながら、多くの企業では総務業務も兼務します。しかし、それだけではなく、以下のような対応も求められるため、人事マネジャーは会社で重要な存在として扱われるようになるようです。

 ◇規則の作成
 就業規則、労働協約、雇用契約書、安全規定やその他もろもろの規則の作成が求められます。就業規則や労働協約は2年に一度など、更新の間隔は頻繁ではないものの、離職率の高いインドネシアでは頻繁に従業員の雇用や雇用関係終了時の作業が発生します。人事の業務は従業員数が増えた分だけ業務量が増え続けるのです。
 また、組合を持つ企業にとっては、経営陣を代表し、人事マネジャーが組合と交渉することが多いとされるため、経営陣と密接な関係を持ち、有能で交渉力があり、かつ威厳を持って対処できる存在感も求められます。

 ◇地域社会との付き合い
 特にオペレータークラスの雇用に際し、地域によって異なるものの「全従業員の○%を工場周辺の地域より雇用しなければならない」という規定や暗黙の了解が存在します。地域を代表する村長・町長らと友好的な関係を持ち、対処しなければなりません。

 ◇特権を行使する労働局
 われわれ外国人就労者のビザが適切に取得されているかなど、監査目的で頻繁に訪ねてきます。「単にコーヒーをいただきに来た」という担当官もいますが、もし会社側に不備があろうものなら、執拗につけ込んでくることが容易に想像されます。
 また、経営陣と従業員との間でトラブルが発生した際には、従業員側から相談を受けたとし、警察が乗り込んでくることがあります。
 どちらにおいても、会社側に不備がある場合、小遣い稼ぎにと不法な要求を受ける恐れもあるため、日本人が表立って交渉し足をすくわれないためにも、当地の文化や習慣をよく理解した人事マネジャーに対応させることが望ましいとされています。
 以上の通り、人事マネジャーは自然に、製造業にとって大きな存在となります。ただし、あまりにも信用しすぎるとそのマネジャーに会社の権力が集中し、不正が引き起こされることもあり得るため、密に関係を築きながらも、人事総務として不要な権限は他の課の責任者へ譲渡する、また常に監視を怠らないよう努めなければなりません。

 

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